医療の方向性と看護を振り返って

 

看護部長 辻村 淑子

 

 今夏は、台風ラッシュで各地に大雨被害をもたらしました。毎年、温暖化の影響といわれていますが、被災され た方は本当に気の毒です。我が家の近くの、柳瀬川や空堀川でも橋のたもとまで濁流が押し寄せました。氾濫したらと、他人ごとではありませんでした。

 さて、医療のこれからの方向性は「治す医療」から高齢化社会を見据えて、病を抱えながら生活する患者さんとその家族を、医療を通じて支援していく「治し、支える医療」という発想がより一層求められてきています。

 医療が在宅へと大きく舵を切る中、「病院から在宅への移行をどう支援するか」が注目され鍵となっています。病棟では、入院時から治療後の方向性について、医師・看護師・医療福祉士・リハビリスタッフの方々等とまた、ひとり暮らしの方は地域包括センター等と連携をとり、話し合いの場を設け地域へのスムーズな移行を心がけています。

 病院では、平成25年9月から地域や家庭で安心して在宅療養生活を過ごしていただくよう在宅療養支援病院の申請をして訪間診療体制を新たにスタートいたしました。

 慢性疾患を抱え定期的な診療が必要にもかかわらず通院が困難な患者さんや、終末期の患者さんのお宅に伺い診療をしています。また、同法人内の有料老人ホームに住み、外来通院が困難になった方など様々な方面から依頼を受け訪間診療をしています。患者さんや家族の評判もよく喜ばれています。まだまだ不十分なところもありますが、患者さんに寄り添い支える医療を心がけています。

 病院の評判がよければロコミで患者さんが集まるといわれていますが、治療成績を公表したり、患者満足度調査から評価をいただいたり、職員一人一人が良い関係づくりに努めています。

 看護部の理念に「人を大切にし、優しい看護をする」と掲げています。看護の質の向上を図ることは容易ではありませんが、患者さんからの感謝の言薬に励まされ、一瞬の観察と、そっと寄り添いながら辛いところに「手」をあてるという看護の基本を忘れず、患者さんと家族に温かく迎え入れてもらえる関係をつくっていきたいと思っています。

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