脳卒中の後遺症によって片側が麻痺してしまい、 一人で歩くことは難しいが、杖を使用し、介助があれば歩くことが出来る方の、歩行の介助方法、注意点などについてお話をしていきます。

 1.杖の持ち方を確認しましょう

 T字型になっている杖を使用している方が多いのではないかと思いますが、前後がある事にご注意ください。杖を持つ時は持ち手の短い側が前で長い 側が後ろになります。

 たまに前後を逆に持って使用している方がいますが、体重をしっかり支えることが出来ないため、注意しましょう。

 2.杖の高さが適切か確認しましょう

 杖を持つ手と同側の足の小指の前側15㎝、外側 15㎝程の所に突いた際、肘関節が30度程の角度になる高さが杖の高さの目安です。ただし、あくまでも目安ですので使いやすい杖の高さには個人差があります。

 3.杖の先端のゴムがすり減っていないか

   確認しましょう

 杖の先端についているゴムはすり減っていませんか?杖を長く使っているとゴムもすり減ってきます。 溝がなくなるほどすり減ってしまうと滑りやすくなってしまうため点検してみて下さい。先端のゴ ムは、介護用品店などで単品販売されており、交換することが出来ます。

 4.歩き方の順番を確認しましょう

 歩き方は2つの方法があります。

 ①杖を出す⇒麻痺側の足を出す⇒非麻痺側の足を出す、の順番です。足は杖より前に出さないようにします。

 ②杖と麻痺側の足を同時に出す⇒非麻痺側の足をだす、

の順番です。 ①のほうが安定していますが、安定してきている方はこちらの方が早く楽に歩けると思います。

 5.歩く際の介助方法について 確認しましょう

 片麻痺のある方は麻痺のある側へ転倒することが多い為、介助する際は麻痺のある側に立ちます。介助者は麻痺側の脇の下に手を差しいれて、手首または手のひらを軽く握るように支えます。力を入れすぎないように注意しましょう。歩く際は周りの安全を確認して、本人のペ ースにあわせてゆっくり歩きます。

 今回紹介した歩行介助の方法は一例です。その方の状態によって方法や手段は変わってきます。まずはご自身や介助者がどこまでできるのかを把握することが大切になります。

 

 

作業療法士  中沢 宏彰

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