シリーズ 睡眠環境について

シリーズ⑤〜 入眠、睡眠、起床環境  

 

  前回までは、睡眠についての寝具や環境についてのご紹介させて頂きました。今回は質の良い睡眠を得るための、身体における入眠、睡眠、 起床環境についてご紹介させて頂きます。

 

入眠環境(スムーズに眠りに就くため)

  入眠のとき生理的に良好な状態を保つためには、体温が下がって発汗作用を活発にするような環境をつくれば良いとされています。体内からの発汗作用をス ムーズにするためには、入眠前に低い温度で入 浴するかシャワー を浴びる、軽い飲酒や食事をとる、 軽い体操などを行って血行を良くすることなどが有効です。高い温度の入浴やシャワー、多量の飲酒と食事、激しい体操などは、体の内部まで暖め、 冷えるまで時間がかかり、スムーズに入眠でき ません。また、神経が興奮するため脳が睡眠状態に入りにくくなります。逆に発汗作用を抑え る行動、たとえば体の表面を冷やしたりすると、 やはり入眠しにくくなります。コーヒー、紅茶、 緑茶などの刺激飲料は、少量でも入眠を妨げることがあります。心理的な面からも脳の興奮状態を和らげることが必要です。しかし、ストレスや不安を取り除い て悩みを少なくする以外、 今のところ対策はなさそうです。  寝る前にある行動をする習慣をつけておけば、それを行うことで脳に眠る準備ができるた め、スムーズに入眠できて睡眠効率が上がります。

睡眠環境(深い眠りに就くため)

  中途覚醒はレム睡眠のときによく起こります。中途覚醒を起こ さないための環境条件としては、生理的にはトイレに行かないよう入眠前に水分摂取の調節。心理的には、夢で目が覚めたりしないようストレスを取り除いてお くことです。寝 床内の環境条件を守るためにも、寝具は暑すぎたり寒すぎたりしないように適当ものを選ぶことが大切です。  寝室は、目を覚ますような刺激が突然入ってこない場所でなければなりません。また、中途 覚醒が起きたときは、柔らかな光がないと不安になり、かえって目が覚めてしまいます。中途覚醒はその後の入眠をしにくくし、睡眠効率もり悪くなります。

 

起床環境(すっきり目覚めるため)

自然に目が覚める前は、レム睡眠の状態になっています。また、脳と体が活動しやすいように体温は上昇していきます。起床時の環境は入眠時とは逆で、 脳と体に刺激を与えるほうが良いとされています。刺激をうけると、脳と体は 早く活動態勢に入ることができます。したがって、起きたときは寝具から出てカーテンや窓を開けて光を入れ、 冷たい空気や水によ る刺激を受けるほうが良いのです。起床時の光の明るさは、 2500〜3000ルクス程 度が良いとされています。    睡眠環境においていくつか紹介をさせて頂きましたが、良質な睡眠を得るには環境、身体と もに色々気を使わなければならないようです。 今回までの記事は参考程度として、リラックスした良質の睡眠を得て、明日に繋げて頂ければと思います。

理学療法士 前床 剛

▶️病院のむさしの陽和会だよりへ戻る

病院ホームページのリニューアルにともない50号より、病院ホームページに移行しました。

35号から49号まではこれまで通り、こちらでご覧いただけます。