慢性腎臓病(CKD)

〜クレアチニン

  新たな国民病である慢性腎臓病(CKD)について、原因や症状を前回お話し ましたが、今回は慢性腎臓病と関係する生活習慣病、腎機能検査についてお話します。

  生活習慣病である「高血圧」、「高血糖」、「脂質異常」は腎臓の働きを低下させる大きな要因 となっています。糖尿 病は高血糖の状態が続き、腎臓の尿をつくる働きが低下します。その結果、体内に余分な老廃物や水分がたまり、さらに腎臓に負担をかけることになります。また、高血圧は腎臓の働きを悪くしますが、腎臓が悪いと今まで以上に高血圧が悪化するという悪循環の関係にあります。

脂質異常 症は腎障害を引き起こす要因でありながら、動 脈硬化など心血管病の危険因子でもあるので、 コレステロール値を目標値まで下げることが重要です。健康な方でも、肥満、運動不足、飲酒、 喫煙などの生活習慣は、慢性腎臓病の発 症に大きな関わりがありますので、過度 の飲酒や不規則な生活は避けたほうがよいでしょう。

生活習慣病との関係性

腎機能を調べるクレアチニン(糸球体ろ過 率) とは、体内で利用された老廃物のひとつで、筋肉がエネルギーを発する際に分解されたものです。このクレアチニンは腎臓を解して排泄されることから、腎臓の ろ過能力を測る指標として活用されます。血液中のクレアチニンの数値が高いのは、腎機能が低下している ことを示唆し、低い 場合は筋肉に関わる 異常を想定します。 基準値 男性0.61 〜1.04㎎ /dl  女性0.47 〜0.79㎎ /dl 一般にクレアチニンの値が1.5㎎ /dl を超えると中程度の腎不全であり、重症になると2.4㎎ /dl を超えた値となります。5㎎ / dl 以上で回復は難しくなり、10㎎ /dl が人工透析を始めるひとつの目安となります。

  早期発見・早期治療により、クレアチニンの 数値が回復する可能性もありますので、異常が あれば、すみやかに専門医の診察と検査を受けましょう。検査を受けられた際は、尿たんぱくや尿潜血、クレアチニンを気にしてみてくださ い。

臨床検査技師 竹林貴子

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