第39号 2014年5月10日

桜の季節に

理事長 小林敦子

 

 病院前の桜並木は、この春も見事な花見を堪能させてくれました。開花の期 間は短いですが、 一斉に咲き誇る花を眺めるこの時期は「至福」の二文字を思い起こさせてくれます。

 植えられている桜の種類は、ソメイヨシノというもっとも人気の高い品種です。この品種は聞くところによると、エドヒガンザクラとオオシマザクラの交配により生まれた、たった1本の木から接木などで増殖させたもので、すべてがクローンだそうです。条件が整えば一斉に開花する現象も、ひいては「桜前線」という独特の指標が成り立つことも、この話を聞いて「なるほど」とうなずけました。ところが、一般に寿命が60年ほどと言われている一方で、樹齢100年を超えて立派な花を咲かせ続けているソメイヨシノも存在します。すべてが同じ遺伝子を受け継いでいるはずの木の寿命がこれ程違う理由は何なのか。素人の推測ですが、やはり手をかけて環境を整え、生育に良い管理を続けた結果ではないかと思われます。

 人間でも、生活習慣の改善や社会環境の整備によって健康寿命の延伸や健康格差の縮小を実現しようという試みが、厚生労働省の主導で進められています。遺伝子診断で個々人のかかり易い病気が分かるような時代になってきていますが、だからこそ定期的に健康診断で自分の体の状態を知り、病気にかかりにくい生活習慣で予防することの有効性が高まってきていると思われます。また、病気にかかっても早期に発見して適切な医療を受けることや、特に高齢者の場合などは必要な介護を受けて生活を整え、二次的な疾患を防ぐことも大切です。一人ひとりの健康への意識の向上が必須であると同時に、地域に根差す医療法人としては、 皆様の健康管理に寄与できるよう、利用していただきやすい事業設計が重要であると改めて感じております。

ところで、医療法人社団陽和会は、かねてから安定的な医療と介護の事業経営を目的として、租税特別措置法第67条に規定された特定医療法人への移行を進めておりましたが、本年3月国税庁より承認を得て、平成25年4月に遡って特定医療法人として認められました。より公益性の高い法人として、法人としての健康管理も欠かさずに、これからも地域の医療と介護に貢献するべく気を引き締めてまいります。  

 

 今後も変わらぬご支援を切にお願い申し上げます。


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