健康増進法と日本人の食事摂取基準
2015年版
健康増進法とは平成14年に公布され、国民の健康増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図ることを目的としています。
その中で国民の責務として「健康な生活習慣の重要性に対し関心と理解を深め、生涯にわたり、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努める」とあります。
この健康増進法に基づいて、国民栄養・健康調査や食生活・運動・喫煙・飲酒・歯の健康保持その他の生活習慣にする正しい知識の普及が行われています。
さて、病院はこの健康増進法とどのように関わっているのでしょうか。
日本人の食事摂取基準とは、健康増進法の第30条の2に基づき定められた基準で、5年ごとに多くの研究や論文をもとに改定されます。
2015年版は平成27年度から平成32年度の5年間使用され、今回の改定では、生活習慣病の発症予防とともに、重症化予防という観点から策定されました。当院の入院患者さんの常食にあたります。
まずはご自分の体重を知りましょう。BMIという体格を表す指数を使います。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
いくつでしたでしょうか?
目標とするBMIの範囲は18〜45歳で18.5〜24.9、50〜69歳で20.0 〜24.9、70歳以上で21.5〜24.9です。
年齢が上がるにつれ目標とするBMI の下限は上がりますが、これは平成23年より死因の第3位が肺炎になり、体重が少ないと肺炎による死亡のリスクが高くなるためです。249 以上は肥満による高血圧や糖尿病など生活習慣病といわれる病気発症のリスクが高くなります。
BMI 24.9以上の方では約4kgの減量で血圧が下がったという報告があります。
体重が適正な場合、エネルギー消費量=摂取量=必要量となります。
体重1㎏あたり30〜40kcalが適量となりますが、ただし、ほとんどの方で食事量の過小評価(実際食べたものより少なく考えている)があるといわれています。 BMIがやや低い方から標準の方で15%、過体重の方で25%少なく見積もっているという研究結果があるそうです。つまり、自分は1600kcal食べていると思っていても実際には2000kcal食べているのかもしれません。
そのほか、タンパク質、脂質(飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸)のバランス、ビタミン、ミネラルの上限や下限が決められています。なかでも、塩分は2010年版では1日9g未満でしたが、2015年版では未満と変更になりました。高血圧には塩分6g未満が効果的ですのでだいぶ近づいてきました。
1日の塩分が1g減ることは食事にとっては大きなことですが、おいしく、バランスよく、ご自宅でも参考になる病院食を提供できるようがんばります。
管理栄養士 細田佳江