整容動作とは、歯磨きや洗顔、整髪、手洗 い、つめきり、化粧などといった身だしなみを整えることをいいます。体の清潔を保つだけで なく、生活にメリハリをつけることで、心理的、 精神的にも重要な動作の一つです。今回は整容動作の方法についてお話ししていきます。

●手洗い●

 手指の関節が硬くなりやすく、握りこんでしまう場合があります。特に指と指の間は不衛生になりやすく、感染 の病気も起こしやすくなります。麻痺側の指をゆっくりと開いて洗い、しっかりと拭いて、手の衛生を保つようにしましょう。麻痺側と反対側の手を洗う場合は吸盤付きのブラシを用意して洗うと便利です。

●洗顔●

 片手で水をすくい、顔を洗うことが難しい場合があります。その場合はタオルを濡らし、拭き取ることもできます。タオルを絞ることが難しい場合は、濡らしたタオルを蛇口にひっかけて、ねじりながら絞っていくと水を絞ることが出来ます。

●歯磨き●

 片手での動作の場合、歯ブラシを洗面台の上に置き、その上にチューブから歯磨き粉を絞り出します。この時すべり止めを下に敷いておくと歯ブラシが安定し操作が行いやすくなります。麻痺側の口腔内は食物が残りやすく、磨きが不十分となりやすい為、注意が必要です。磨き残しがないか、食物が残っていないか確認しましょう。また入れ歯を洗う場合は吸盤付きのブラシを用意して洗うと便利です。

●髭剃り●

 電気髭剃りを使用すると操作が行いやすくなります。また麻痺側の剃り残しがみられやすくなる為、鏡や指先でしっかりと確認しながら行いましょう。

●爪切り●

 麻痺側と反対側の爪を切る場合は、爪切り用の自助具を使う方法や爪切りに付ているヤスリの部分を土台に固定し、爪を削る方法を用いると爪を整えることが出来ます。

 

 

 今回紹介した方法は一例です。その方の障害に合わせて使用方法の工夫や自助具をうまく活用してみてください。

 

作業療法士 中沢宏彰

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