「病院の安全について」

 理事長・病院長 長倉 和彦 

 

武蔵野陽和会病院は、まだ旧西窪病院時代の14年前に医療安全に関する委員会を立ち上げて、以後安全な医療の確立に精進して参りました。

 病院での医療は病気を治すのであるから、安全が当たり前だと漠然と思われがちなのではと思いますが、「安全な医療」には関わる全ての人の地道な努力と互いの協力が必要不可欠です。訓練された医療専門職の人間が多いとはいえ、病院もあくまで人の集合体です。そこには、人間らしく間違いが生じてしまう要素がたくさんあります。

 病院では、残念ながら事故になってしまったもの、事故まではいかない軽い過ち、あるいは間違える寸前で気が付いた事例など、これらを全て収集・検討し、再発予防策を講じて、以後同じ間違いを起こさないように努めています。それを続けていても、残念ながら、毎月同じような事例をみることがあります。医療安全は、一生懸命努力しても、やり尽くしてもう十分だということは永久にないのだと思います。

 比較的簡単に起きやすい一つの事例として、患者さんの「間違い(誤認)があります。患者さんの誤認防止は、手術時などでは特に厳重になります。氏名と生年月日を言っていただくほか、別の法でも繰り返し確認が行われます。

 一方、一般の診療では、忙しさもあるでしょうが、何となく疎かになりがちなのも事実です。本来は、外来診療においても基本は全く同様のはずです。手術時ほど厳格ではありませんが、患者さんの確認には、 氏名を名乗ってもらうことを基本原則としています。代わりに、診察券を提示していただいても結構です。

 診察、採血、点滴、レントゲン、心電図検査など、全ての医療行為のたびに確認が必要です。「〇〇さんですか?」と聞くと、聞こえなかったり、分からなかったりしても思わず「ハイ」と答えてしまうことがよくあります。そのため、名前をこちらから聞いて確認する方法は不適切とされます。

 何度も通院して、顔見知りの外来のスタッフなのに、「私のことを知らないの?」 と思われるかたもおられるでしょう。でも、毎日数百人の患者さんをお迎えすると、記憶違いや、勘違いが必ずおこります。 患者さんの誤認は、完全に防ぐことは難しいとは 思いますが、限りなく少なくする必要があります。

 ご面倒かとは思いますが、皆様のご協力をお願い致します。もし、ご自身でお名前をおっしゃれない場合には、付添いの方にお願いしてはいかがでしょうか。あるいは、いつも診察券をお手元にお持ちいただき、その都度お見せいただくと間違いもありませんので助かります。

 いつも“陽和会だより”をお読みいただきありがとうございます。

 武蔵野陽和会病院は、前身である西窪病院の開設から55年目になりました。 当院は、地域の皆様が健康で老後まで安らかに過ごせることを第一に考え、老人保健施設をはじめとして、外来透析クリニック健診専門クリニック介護付老人ホームも併設しました。

 これからも地域の皆様のお役に立つ病院、施設であり続けたいと考えています。職員一同、精一杯努力いたしますので、皆様のご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。

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