人口の4人に1人が65歳以上という高齢化が進 む日本では、過食や生活の乱れからくる生活習慣 病に悩んでいる方が多い一方、様々な理由から低 栄養に至るケースも問題となっています。

 低栄養に至る原因は主に以下のようなケースが考えられています。

 

「活動性が低い」

 運動するとお腹が空きますが、高齢者は活動量が減る場合が多いためあまりお腹が減らず食事量 が少なくなってしまいます。

 

「感覚機能が低下する」

 加齢に伴う味覚の低下では高齢者と若年者とでは、基本5味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)のうち、特に塩味の感受性に差がみられると報告れており、加齢とともに濃い味を好むようになってくるといわれています。高血圧症等で塩分制限があるような場合に「減塩食だと味が薄くて食べられない」といった理由で摂取量が低下するケースがみられます。

 

「長年の食生活や食事のパターン化」

 かつては日本人の多くが主食中心でおかずが少ない食生活を送っており、長年主食中心の食事となっている場合があります。また食事の支度の都合や嗜好から、毎日同じようなメニューを摂り続けることで栄養バランスに乱れが生じてきます。

 

「咀嚼や嚥下、口腔機能の障害など」

 義歯(入れ歯)が合わないため痛みが生じたり、義歯をはずしてしまい食事が摂れなくなります。 脳梗塞などの脳血管疾患の後遺症では嚥下障害を引き起こし、飲み込みづらくなる場合があります。

 他にも、大きな手術により消耗が大きかった時や老年性うつ・認知症、独居による孤食など様々な理由で摂取量が減り低栄養に陥るといわれています。

低栄養の早期発見チェック

 自身や身近な方が低栄養になっていない かチェックしてみましょう。

 

☆体重の変化を見逃さない

 体重減少が6 ケ月で2〜3kg以上ある場合や、 体格指数(BMI) が18.5未満の方は低栄養の恐れがあります。定期的に体重を測る習慣をつけましょう。BMIは「BMI =体重(kg)÷身長(m)÷身長( m)」で求めることができますがBMI早見表を利用していただくと計算の手間が省けて便利です。

 

 ↑ 上の表はクリックすると大きくなります。

☆血液検査を定期的に受けましょう  

 血液検査で栄養状態の指標となる1つに「血清アルブミン値」があります。3.8㎎ /dl で黄色信号、 3.5㎎ /dlを下回ると内臓たんぱく質減少などがみられるとの報告があります。ただし脱水・感染症・炎症性の病気などで数値が影響を受けることがありますので、低栄養の有無についての判断は医師にしていただきましょう。(血液検査には他にも総コレステロールやヘモグロ ビンなどの値も参考にする場合があります)

低栄養の可能性がある場合

 まずは普段の食事摂取状況を確認し、かかりつけの医師や介護保険を利用している方は担当ケアマネージャーに相談してみましょう。当院かかりつけの場合は疾患に応じて栄養指導も行っております。まずは普段の食事摂取状況を確認し、かかりつけの医師や介護保険を利用している方は担当ケアマネージャーに相談してみましょう。当院かかりつけの場合は疾患に応じて栄養指導も行っており ます。

 

 生活習慣病や食事療法が必 要な場合は特に食事内容に注意が必要となりますので、主治医にご相談されてみてはいかがでしょうか。


管理栄養士 川里明子

かぼちゃは炭水化物を多く含みエネルギー源となるため低栄養に方にもオススメの食材です。 また抗酸化ビタミンと言われているビタミンC、ビタミンE、そしてβカロテンが沢山含ま れています。かぼちゃプリンでしたら卵や牛乳のたんぱく質も摂取することができます。 また、かぼちゃの皮を除き実をつぶして提供すれば、嚥下障害のあ る方にも比較的食べやすいデザートとなっています。 (注:嚥下障害の度合いは個人差がありますので、摂食嚥下訓練を受けている方の食形態は主治医や言語聴覚士の指示に従ってください)

(旬の食材百科 http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/index.htm)


管理栄養士 川里明子

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