食事とは、栄養素を摂取するという側面と、楽しみやコミュニケーションの場としての社会的な側面があります。在宅での生活において、どのように食事を取るかということはとても大切な要素となってきます。 今回は食事を取る際のポイントについてお話ししていきます。
片麻痺の方は飲み込む機能が低下し、誤嚥を起こしやすい場合があります。お口のケアをしっかり行うことで、食前では唾液の働きや舌の働きを促すことが出来ます。食後では食べ残しがないか確認し、お口の中をきれいにすることで誤嚥のリスクを減らすことが出来ます。
★首を前後、左右に動かしましょう。
★肩を上げたり下げたりしましょう。
★頬を膨らませたり、すぼませたりしましょう。
★パタカラ体操をおこないましょう。
おおきな声で「パパパパパ・タタタタタ・カカカカカ・ラララララ」
と口を動かしましょう。。
寝たきりの方で椅子に座ることが難しい方は、姿勢が崩れない範囲でベットをなるべくギャッチアップし、膝を軽く曲げ頭部が少し前かがみになるような姿勢で食べることが出来るように環境を整えましょう。
座ることが難しい方でも、車椅子やクッション、テーブルの高さ等環境を整えてあげることで、食事を取ることが出来る場合があります。体が左右に傾いていたり、ずっこけ座りになっていると誤嚥の原因にもなります。まずはしっかりと奥まで座れているか、傾きがないか確認しましょう。
脳卒中により手の細かい動きが難しくなった方や、利き手交換により箸の使用が難しくなる場合があります。2本の箸をパネで 連結させピンセットのような使い方で食べ物をつかむ物や、2本の箸を連結し指の当たる部分を持ちやすくしている物があります。
★スプーン・フォーク
柄の部分を太くして握る力が弱い方でも持ちやすくした物や、先を曲げることによってすくったものをそのまま口に入れられるよう工夫することが出来る物があります。
★お皿
しっかりとお皿をおさえることが難しい方は、底に滑り止めがついているお皿や、すくいやすいように内縁を立ててあるお皿があります。また、すべり止めシートをお皿の下に敷くのも方法の一つです。
●食欲がわくように食べ物を見てもらいながら、何を食べるか伝えながら口へ運ぶようにしましょう。
●一口量は少なめにし、口を開けやすいように目の下からスプーンを運んで食べ物を運ぶようにしましょう。またきちんと飲み込んだことを 確認してから次の食べ物を運ぶようにしましょう。
●固形の食べ物と汁物を交互に食べるようにしま しょう。
●麻痺側へ倒れそうな方は介助者が支えになるように麻痺側へ体をつけて介助しましょう。また麻痺側から介助することで非麻痺側の口へ食べ物も運びやすくなります。
その方の飲み込む機能の状態によって食事の形態は変化しますが、一般的にばさばさした物や水分の多い物より、適度な粘りがある物が喉の通りも良く食べやすくなります。材料を細かく刻んだり、隠し包丁を入れたりして食べやすくすることも方法の一つです。
むせ込みがある、ガラガラ声になる、熱が続いているといった症状が出た場合は誤嚥の可能性もある為、一度医師に相談してみてもよいかもしれません。
今回紹介した方法は一例です。その方の状態によって方法や手段は変わってきます。 参考にしてみてください。
作業療法土 中沢宏彰