東京都の昨年(平成27年)の食中毒発生状況によると、夏場の食中毒は6月の梅雨頃から9月にかけて発生件数が増加しています。

  近年、冬場に「ノロウイルス」によるウイルス性食中毒が増加していますが、湿度と気温の上昇するこの時期は細菌性の食中毒が増加する時期です。

 細菌性食中毒の主な原因菌は、

黄色ブドウ球菌
カンピロバクター
サルモネラ
腸管出血性大腸菌(O-157 等)

腸炎ビブリオ 

等です。

 今年の4月に起きた熊本地震の際には炊き出しのおにぎりで食中毒が起きましたが、これは細菌性の「黄色ブドウ球菌」が原因とされています。おにぎりを朝作り、発泡スチロールの容器で運搬し昼ごろに提供したそうです。春に起こった食中毒ですが、発泡スチロールという湿度や温度がこもりやすい環境に長時間置かれたことで、夏場の食中毒の発生状態と同様の環境になってしまいました。

 この時期の食中毒の特徴は、食品が高温多湿の環境に置かれた菌が繁殖することです。食卓に常温で置かれることはもちろんのこと、冷蔵庫も過信は禁物です。暑い夏は冷たい飲み物や食品を取り出すために冷蔵庫を開け閉めする回数が増え、そのたびに庫内の温度は上昇します。設定温度を保てない状態が起こり、冷蔵庫内で保管していても菌が増殖している場合が出てくるのです。夏場は冷蔵庫を5~6秒開けているだけで庫内の温度は 10℃以上に、30秒以上開けていれば庫内は20℃近くにまで上昇するといわれています。

「どうすれば、 夏場の食中毒を防げるの?」

 食中毒の基本的な予防法は通年を通して変わらず「細菌をつけい・増やさない・やっつける」が原則です。まず基本の予防法を具体的にご紹介します。

 

① 食事をする前は手を洗いましょう。食べき

  れなかった料理を保存する場合は清潔な容

  器に入れて低温下で保存しましょう。

② 食料品を購入する際には賞味期限を確認し、買い物後すぐに冷蔵庫に   入れるなど低温の環境で保存しましょう。余った食材を保存する際に   ラップをかけておき、早めに使い切ることも大切です。

③ 調理をする際にも手をしっかりと洗い、きれいに洗浄された調理器具

  を使い、十分に加熱しましょう。

 

 生鮮品や料理の常温放置は避けましょう。冷蔵 庫は開閉回数を減らすために庫内を整頓しましょう。食品を詰め込みすぎないのはもちろんのこ と、調味料、飲み物、食べ残った料理等、種類ご とに置くスペースを決めておくと庫内のものをスムーズに取り出すことができます。暑い時期は冷蔵庫の設定温度を中から強へ設定することもお勧めです。

 食中毒を起こす細菌類は5℃~65℃の温度帯で活発に増殖します。ご家庭での食品の温度管理に気をつけていただき食中毒を防ぎましょう。また手洗い、使用する器具類の洗浄も大切ですので洗剤を使用して隅々まで洗浄しましょう。


 

東京都福祉保健局多摩府中保健所

HP(fukushihoken.metro.tokyo.jp/tamafuchu)

管理栄養士  川里明子

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