シリーズ

高次脳機能障害
について(2)


前回は、高次脳機能障害についてというテーマで主な症状についてお話しさせていただきました。

 今回からは何回かに分けて一つ一つの症状についてもう少し詳しく対応方法や注意点なども含め、お話ししていきたいと思います。

 

記憶障害とは

 新しい情報を覚え、保持し必要な時に引き出すことができない状態をいいます。病気の前のことは比較的に思い出すことができますが、病気の直前直後のことが思い出せず、病気後の新しい記憶がなかなか保持されない状態となります。

 

症状の例

・少し前の出来事や予定を忘れてしまう。

・何度も同じことを話してしまう、同じ間違いをしてしまう。。

・人の名前や物の名前が出てこない

・居場所が分からなくなってしまう。

・自分の持ち物をどこに置いたかわからず、
 探し回ってしまう。

・忘れていることに気が付かない。

・作業中に自分が何をしていたか忘れてしまう。

 

対応の例

・言葉だけでなく、絵や写真を用いて情報をわかりやすく整理して伝える。

・スケジュール帳や日記をつけて出来事の順番やその日の予定が分かるようにする。

・約束の時間や用事を忘れないように、携帯電話や目覚まし時計などのタイマー機能を利用する。

・日常でよく使う物は同じ場所に置き、目印をつける。

・頻回に自分のしていることを確認するくせをつけてもらう。

 

気を付けなければいけないこと

 間違っていることを繰り返し指摘されるとストレスが溜まってしまいます。本人の症状を理解し対応していくことが大切です。

メモ帳やスケジュール表など一度に多くの情報を多用すると混乱して

しまう場合があります。

周りの人は伝えるだけでなく頻繁に確認(火の始末、服薬、施錠など)する必要があります。

 本当に記憶そのものに問題があるのか、他の高次脳機能障害の影響によるものなのか確認する必要があります。

 ここまで簡単ではありますが、記憶障害についてお話しさせていただきました。その方によって症状や対応方法などは変わってくると思いますが、皆様方の一助になれば幸いです。

 

作業療法士 中沢 宏彰

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